LGBTと
アライのための
法律家ネットワーク
お知らせ2020.06.05

参考文献リスト:保健師ジャーナル2020年7月号「法的な立場から見たLGBTと向き合うために必要なこと」に寄稿しました

医学書院様発行の保健師ジャーナル2020年7月号の特集(LGBTとは 多様な性と向き合うたうめに理解しておきたいこと)に「法的な立場から見たLGBTと向き合うために必要なこと」という記事を寄稿させていただきました。

記事についてさらに理解を深めたい方のために参考文献・URLのリストを作成いたしました。是非ご活用ください。またご質問等ございましたらご遠慮なくinfo@llanjapan.orgまでご連絡ください。

1.全般的な法的課題
自民党の取組みについては、「LGBTに関するわが党の政策について」(2018年8月1日)をご覧ください。自民党は性的指向・性自認に関する正しい理解の増進を目的とした議員立法の制定に取り組んでいますが現時点(2020年6月25日現在)で法案は提出されていません。一方立憲民主党などの野党は、差別解消法案や婚姻平等(同性婚)法案を既に国会に提出していますが未だ審議はなされていません。差別解消法案や婚姻平等法案については立憲民主党のウェブサイト「【絵で見る政策】婚姻平等法案・LGBT差別解消法案」をご覧ください。とても分かりやすく法案の内容を解説しています。

自治体の取組みですが、全般的な取組みの状況として、地方自治研究機構の「性の多様性に関する条例」がとても参考になります。「性的指向・性自認及び性的少数者に対する差別的な取扱いを禁止することなどを規定している条例」や「同性パートナーシップ制度を規定している条例」さらには「アウティング禁止の規定等を置く条例」についての情報が得られます。また自治体に対してLGBTに関する諸施策の導入を提言するものとしてLGBT自治体施策提言集は力作です。自治体として行いうる施策について、「1、全体的な取り組み」、「2、まちづくり、環境、防災」、「3、保健衛生、医療」、「4、福祉、自死対策」、「5、教育」、「6、パートナーシップ制度」に分けて論じていて、とても参考になります。

2.トランスジェンダーに関係する法的課題

性別適合手術等医学的にも関心が高い課題だと思います。非常に多くの情報を発信されている針間克己先生や中塚幹也先生の著作や論考を是非ご覧ください。針間先生の直近の著作に「性別違和・性別不合へ─性同一性障害から何が変わったか─」があります。中塚先生のLGBTの基礎知識に関するビデオが公開されています。また職場での取り組みにとても参考になる書籍として「トランスジェンダーと職場環境ハンドブック だれもが働きやすい職場づくり」をお勧めいたします。なお、性同一性障害者の性別の特例に関する法律はとっても短い条文ですが、こちらでご覧いただけます。

3.同性カップルに関係する法的課題

同性カップルが直面する様々な困難については三輪晃義弁護士の「同性カップルの直面する法的問題」をご覧ください。書籍としては「同性婚 だれもが自由に結婚する権利」が当事者の声も含め幅広く論じています。

自治体パートナーシップ制度は、婚姻と同様の法的な効果はないものの、現在の日本において重要な役割を果たしています。急速に拡大している自治体パートナーシップ制度の採用・普及状況については、虹色ダイバーシティ様の「自治体パートナー登録件数」と、同性パートナーシップ様の「全国自治体パートナーシップ制度 検討・実施状況」をご覧ください。

記事で言及したように2019年2月14日全国で一切に婚姻の平等(同性婚)を求める訴訟が提起されました。その現状については婚姻の平等の実現に取り組むMarriage for All Japanのサイトがもっとも最新の情報を提供しています。そのYouTubeチャンネルにも多くの動画が投稿されています。コロナウィルス感染症、当事者の声そして医療関係者の声を取り上げたライブイベント「IDAHO30年!マリフォー緊急オンラインイベント 「医療・救急―大切な人と一緒にいられるように~新型コロナウイルスアンケート報告会」」の動画は、現状を理解するうえで、とても参考になると思います。

4-1.職場の課題

職場における取組みについては、手前みそで恐縮ですが、弊団体の書籍「法律家が教える LGBTフレンドリーな職場づくりガイド 」をよろしければ手にとってみてください。第1章でLGBTをめぐる社会の動き、第2章では人事の専門家が職場における取組みを推進するための方法について解説し、第3章では採用から雇用の終了まで法的に留意すべき事項について弁護士が分かりやすく解説しています。また法的により専門的な書籍をご希望であれば「ケーススタディ 職場のLGBT 場面で学ぶ正しい理解と適切な対応」をお勧めいたします。

ウェブ上で簡単に入手できるものとしては第二東京弁護士会の機関紙「二弁フロンティア」掲載の「待ったなし! 企業によるLGBT支援の仕組み」をあげておきます。2019年3月に第二東京弁護士会で実施された研修の内容を収録したもので、前編は人事面からの取組みを、中編は法務面からの取組みを、そして後編にはパネルディスカッションの内容が収録されています。

また2020年3月厚生労働省は「多様な人材が活躍できる職場環境に関する企業の事例集~性的マイノリティに関する取組事例~」と題する報告書を公表しました。また先駆的な取組みとして、虹色ダイバーシティ様と国際基督教大学ジェンダー研究センター様は長年LGBTと職場に関する調査を実施してきました。職場における実態を理解するために極めて重要なデータが収録されているのでご参照をお勧めします。

4-2.学校の課題

文部科学省の取組みについてはこちらで確認いただけます。特に平成27年4月30日の「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」と平成28年4月の「性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(教職員向け)周知資料」が重要です。

また民間の重要な取組みとしてNPO法人ReBitさんの取組みを是非ご覧ください。

5.その他

今回の記事作成にあたっては、著者の一人細谷夏生弁護士が交流のある「にじいろドクターズ」様がFacebookで掲載されている内容を参考とさせていただきました。厚く御礼申し上げます。また「医療現場の多様な性を考えよう」も参考とさせていただきました。ありがとうございます。

以上現在ネット上に数多くの情報があります。その中で比較的入手しやすいもの、または弊団体・著者らが関与したものを、ご紹介させていただきました。その他ご質問・お問い合わせがございましたら、ご遠慮なくinfo@llanjapan.orgまでご連絡ください。

 

 

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