LGBTと
アライのための
法律家ネットワーク
2020.06.06

理事石黒徹先生のご逝去を悼む

2020年5月18日当団体の理事石黒徹先生が逝去されました。日本の資本市場の発展と国際化に多大の貢献をされた石黒先生は、昨年末、65歳で森・濱田松本法律事務所を定年退所し、個人の弁護士として新たな人生のスタートを切られたばかりでした。あまりにも突然かつ不条理な知らせに私どもは言葉を失いました。ビジネス界・法曹界の重鎮として今後性的マイノリティの平等実現をはじめ社会に多大な貢献をされたであろう石黒先生の早すぎた死は悔やんでも悔やみきれません。

私どもの団体は2016年にビジネス法曹の任意団体として産声をあげました。当時ビジネス法曹によるLGBTQに関する取り組みはほとんどありませんでした。そのような折、石黒先生はいち早くこの問題はリベラル・保守にかかわらず、一人ひとりが尊厳をもって生きていくという基本的人権の根本にかかわる問題だと喝破され、以後一貫してその理念に従い行動されてきました。

石黒先生は法曹界の重鎮でありながら、気さくでフットワークが軽く、先生の理念に沿うものであれば、どんなイベントにも足を運ばれ、情熱をもって聴衆に語り掛けました。静かで力強く、はにかんだようにユーモアを交えて話す姿に、私たちは心から信頼を寄せていました。

2018年9月19日、在日米国商工会議所をはじめとする在日外国商工会議所は、日本も婚姻の平等(同性婚)を実現すべきであるという提言(「婚姻平等の提言」)を公表しました。石黒先生はその記者会見に当団体の代表として出席し、以後当団体のアンバサダーとして、婚姻の平等を含め、「一人一人の個人の個性を尊重し、すべての人が活き活きと生活し活躍できる」社会の実現の必要性を訴えつづけました。石黒先生は、同日に行われた当団体のガラ・パーティーで、約200名の聴衆に婚姻平等の提言が拠って立つ法律上・社会上の根拠についてわかりやすく語りかけました。



翌2019年2月14日、石黒先生の発意により、その所属する日本有数の大手法律事務所森・濱田松本法律事務所は、日系の法律事務所としてはじめて、約100名のパートナーの総意をもって上記提言に賛同しました。

同年11月19日、一般社団法人Marriage for All Japanが主催する院内集会(「マリフォー国会-同性婚を伝えよう」)で石黒先生は、国会議員を含む多くの聴衆に対し、婚姻平等の必要性を訴えました。



このイベントが私どもの団体での石黒先生の最後の「公務」となりました。

石黒先生を失ったことは,誠に残念であり哀惜の念に堪えません。石黒先生が生前尽力された婚姻平等の賛同企業数は現在87社にまで達しました。私どもはここに石黒先生のご冥福を心よりお祈りし、石黒先生の灯した情熱と理念の炎を絶やすことなく、石黒先生とともに、個人の尊厳と多様性が尊重され、すべての人々が安心してその能力をフルに発揮して活躍することのできる平等かつインクルーシブな社会の実現に貢献するため、まい進し続けたいと考えます。

LGBTとアライのための法律家ネットワーク

共同代表藤田直介、同アレキサンダー・ドミトレンコ

理事・監事一同

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