LGBTと
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法律家ネットワーク
活動実績2017.09.20

【開催報告】LawAsia東京大会2017セッション「アジア太平洋地域におけるLGBTの権利」に理事佐々木・稲場が登壇しました

2017年9月20日Law Asia東京大会2017のランチセッション「アジア太平洋地域におけるLGBTの権利」に当団体理事佐々木・稲場が、元オーストラリア連邦最高裁判事のマイケル・カービー氏、2017年5月同性婚を基本的人権として認めた台湾の憲法裁判所判決を勝ち取った許秀雯(Victoria Hsu)氏とともに登壇し、当団体理事別府がモデレーターを務めました。

カービー氏は、ブルネイにおける死刑導入、バングラデシュにおける暴行、インドネシアにおける収監など、多くのアジア諸国において、LGBT当事者に対する敵意ある行動があることに深い憂慮を示しました。国際連合人権理事会のLGBTに対する暴力と差別の調査についても、アジア太平洋地域の国のうち数か国が反対したことにも言及しました。一方、台湾で憲法裁判所が同性カップルの婚姻の権利を認めないことが基本的人権の侵害にあたるとの判決を下したこと、またインドの最高裁判所判事が、性的指向はプライバシーに属する事項であって、プライバシー法に基づき保護されると述べたことなど、歓迎すべき動きもあると述べました。最後に日本について言及し、日本ではなおLGBTであることを隠し続けなければならず、裁判官、政治家、企業リーダーでカミングアウトをしている人がいないこと、このような環境が変わるためには、社会におけるLGBTに対する理解を促進しなければならないこと、そのために法律家が果たすべき責任は重大であると述べました。

Victoria Hsu氏は、フェミニスト運動、ジェンダー教育を推進する法律、LGBT支援団体の運動、有名人のカミングアウト、LGBT当事者による社会運動があったからこそ、2017年5月の台湾憲法裁判所の判決が実現したと説明。台湾のLGBT運動を3つのフェーズに分けてその展開について説明しました(戒厳令が廃止され表現の自由・結社の自由が保障されるようになった1992年から2000年の第1期、LGBT団体が設立されるようになりLGBTが抱える問題について発信するようになった2000年から2010年の第2期、そして2010年以降LGBT当事者が政府・立法に対し請求するようになった第3期)

稲場は、同性カップルに婚姻の平等が保障されていないことはLGBTに対する差別・偏見の象徴であって、婚姻の平等を実現することは象徴的な意義があることを強調しました。また日本の自治体における同性パートナーシップ証明制度や2015年7月455名のLGBT当事者が同性婚を認めないことが人権侵害に該当するとの認定・勧告を求めて日本弁護士連合会に対し人権救済申立てを行っていることについて説明しました。

最後に佐々木はLGBTの権利は、政治的問題ではなく、憲法が保障する自由・基本的人権に係わる法律問題であり、したがって、法律家には立ち上がり差別解消に取り組むべき責務があると会場に呼びかけました。

 

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