LGBTと
アライのための
法律家ネットワーク
活動実績2017.09.26

【開催報告】野村グループのマルチ・カルチャー・バリューネットワークとパネルディスカッションを行いました

2017年9月21日野村グループのマルチ・カルチャー・バリューネットワークのお招きでパネル・ディスカッションを行いました。パネリストとして、2013年イギリス同性婚法の実現の立役者の一人であるイギリス国会議員ニック・ハバート氏のほか、当団体からは田中太郎弁護士と理事の藤田が出席し、皆さまと大変有益なディスカッションを行うことができました。

野村グループのマルチ・カルチャー・バリューネットワークは、「人種、国籍、宗教、世代、性的指向などによる多様な文化に着目し、互いの行動原理について理解を深め、気づきを促すことで、社員一人ひとりの持てる強みが十分に発揮できる環境づくりを支援します。テーマの1つであるLGBTAでは、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダーに代表される性的マイノリティを理解し、支援する「アライ」を増やす活動に取り組んでおり、LGBTAの「A」はアライを表現しています。」(とても素晴らしい内容だったのでそのままホームページから引用させていただきました)。



ニック・ハバート氏は、国会議員としての立場から「平等とダイバーシティ」が国政上の重要な論点であること、また、個人が自分の本質を隠して生きざるを得ない社会では、個人がフルに社会に貢献することができず、社会・国家にとって大きな損失となることを強調しました。イギリスでは約650名の議員中45名の議員がカミングアウトをしているとのことです。(一方女性の国会議員は全体の3分の1に過ぎずこの点では未だ課題があるとも指摘されました)。ハバード議員はイギリスの2013年同性婚法(Marriage (Same Sex Couples) Act 2013)実現の立役者のおひとりですが、その立法にいたる過程について、お話しいただきました。特にこの法律が保守党政権の下で、上院・下院の圧倒的多数で賛成可決したこと、その後の選挙で保守党は勝利を収めたこと、また、時の首相デーヴィッド・キャメロンの次のスピーチを引用して、同性カップルの婚姻を認めることは、保守的な価値観を尊重することになることを説明されました。

Yes, it’s about equality, but it’s also about something else—commitment. Conservatives believe in the ties that bind us. Society is stronger when we make vows to each other and we support each other. I don’t support gay marriage in spite of being a conservative. I support gay marriage because I am a conservative. (同性婚法は)平等のために立法します。でも「コミットメント」のためでもあるのです。保守党は社会の絆の力を信じているのです。社会は相互に誓いあい、相互に支援することによって、より強くなることができるのです。私は、「保守党にもかかわらず」、同性婚を支持するのではありません。私は、「保守党だからこそ」、同性婚を支持するのです。

直近のドイツを含め、現在24か国で立法・裁判・国民投票などにより同性婚が実現していること、G7諸国中5か国で同性婚が実現し、イタリアでも法律上の効果があるパートナーシップが既に実現していることを説明したのち、ロンドン・オリンピック、リオ・オリンピックでそうであったように、2020年開催の東京オリンピックでは、日本がこの側面から世界の注目を浴びるであろうと話しました。

最後に一人一人がこの問題に草の根から取り組むことの重要性を訴えました。国民投票により同性婚が実現したアイルランドでは「Tell Your Grand Parents (おじいちゃん・おばあちゃんに話そう)」というキャンペーンが実施され、同性婚を支持する若者が、その祖父母に働きかけるキャンペーンがあったことも大変興味深いお話しでした。なおそのキャンペーンの様子はこのサイトでご覧いただくことができます。

 

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